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リニア入札、東京地検特捜部による捜査の背景を考える。

renです。

 

先日、JR東海リニア中央新幹線建設工事に関する不正入札行為について、東京地検特捜部が関係者に任意聴取を開始したとの報道が流れました。

名古屋市中心部に設置される「名城非常口」の設置工事について、受注した大手ゼネコン「大林組」の幹部などが、工事上限価格や非公開の技術情報をJR東海の担当者より複数回聞いたとの事で、工事価格積算などに有利な情報を得ての入札行為について、入札妨害の嫌疑による捜査が行われている様子です。

入札最終段階まで残った「鹿島建設」の担当部長にも任意聴取が行われている様子ですが、「大林組」は偽計業務妨害容疑で家宅捜索も行われており、この時点では「名城非常口」の設置工事を受注した「大林組」を狙った捜査である事が推測されます。

その後、捜査は「鹿島建設」「清水建設」「大成建設」「大林組」に対して公正取引委員会と合同での独占禁止法違反の容疑での捜査へと幅を広げています。

いわゆるスーパーゼネコンによる事前の受注調整の疑いが強まったとしていますが、JR東海自らが情報提供に積極的だった「大林組」の偽計業務妨害容疑が、少々無理筋だった事もあり独占禁止法違反へと仕切り直しての捜査というのが実情でしょう。

 

JR東海リニアモーターカーを整備したかったのか?

個人的には総工費9兆円規模と言われるリニア中央新幹線の建設は、採算性を考えれば少々無謀な行為としか思えません。

東海道新幹線やJR在来線、国内航空機路線、東名、中央、阪神の高速道路網とも競合する大都市圏を結ぶ新線の必要性は特段無いと考えており、東京、品川~名古屋間、約40分という驚異的な時間短縮は魅力的ですが、利用客数がどれだけ確保できるかと言えば、現在の新幹線や航空便の営業区間利用者を分け合うのが実情と思われます。

JR東海もその様な営業環境は当然把握している訳で、整備に前向きだったとは思えません。

そもそも、旧国鉄が民営化されるきっかけとなった膨大な累積赤字については、大きな要因として新幹線の整備事業が挙げられており、今回のリニア中央新幹線整備についても、JR東海は旧国鉄時代の新幹線整備と同様に膨大な債務を抱え込む事となります。JR東海リニア中央新幹線の整備開始に二の足を踏むのも無理はありません。

そんな現状から整備を先延ばしにされて来た印象もあるリニア事業ですが、整備が開始された背景には、JR東海の背中を押した政治的な影響力や思惑が隠されていると推測できます。 

国鉄の民営化政策で民間企業へと移行されたJR各社ですが、国鉄を分割しての民営会社設立後から「日本国有鉄道清算事業団」へと各社に分担された債務の返済を開始しました。

事業団解散後も現在に至るまで独立行政法人がJR各社へ一定の関与を行っており、依然として国の強い影響下に置かれています。

日本国有鉄道清算事業団」からの業務の一部を現在まで引き継いでいる「鉄道、運輸機構」による株式売却も北海道や四国、貨物についてはまだ全て終了しておらず、国鉄全体の完全民営化は未だ道半ばというのが現状です。

そんな経営環境に置かれているJR東海ですから、当然として一般の民間企業ほど政治的な要請を断る力など無い訳です。

 

 

■与党自民党が用意した飴と安倍政権からの鞭

その流れの中で、今回の東京地検特捜部が公正取引委員会を巻き込んでの合同捜査です。

公正取引委員会からの告発を受けての捜査であれば、まだ納得も行きますが、今回に関しては東京地検特捜部が先行しての強制捜査です。政治的な背景からのいわゆる国策捜査としての展開という感が拭えないのは僕だけでしょうか?

一言で言ってしまえば、

安倍政権が

「リニア事業は国策として推進されている国家事業で、民間の鉄道会社が行う単なる民営事業では無い」

との認識を、関係各所に強く意識させるという行動に出たというのが本質と推測しています。

僕の認識では、安倍政権はリニア中央新幹線の整備事業にあたり、前向きでは無かったJR東海に対して特別の配慮、優遇措置を行っています。

リニア中央新幹線の整備事業にあたり、国がJR東海に対して3兆円の財政投融資を行っているのは周知の事実ですが、融資実行にあたっては自民党の「リニア新幹線に関する特別委員会」が「衆議院国土交通委員会」を巻き込み、融資機能を持たない「鉄道、運輸機構」の設置法案を改正してまで、「鉄道、運輸機構」を窓口とする事にこだわった財政投融資を実行しています。

日本国有鉄道清算事業団」の影が重なるこの「鉄道、運輸機構」ですが、前述した通り、リニア中央新幹線の採算割れが懸念される中、JR東海の経営状況が悪化した際には、財政投融資3兆円を含む約9兆円と言われる整備費用を国が一旦引き受ける安全装置の役割を担っているのではないかと想像している訳です。

国鉄の新幹線整備費用も債権として事実上「日本国有鉄道清算事業団」が引き受け、現在でもその一部を「鉄道、運輸機構」が新幹線譲渡収益として新幹線に関連するJR各社より回収していますが、そのスキームをリニア中央新幹線でも活用できる配慮を事前に行い、リニア中央新幹線の整備費用については事実上の国家保証に近い形を提供してJR東海へ整備開始を促したと思われます。

リニア中央新幹線の整備については、国が責任を負うとの飴を用意した半面、今回の捜査は受注企業と馴れ合い、多額の整備費用を身勝手に采配するJR東海への鞭の側面が感じられます。

今後の捜査の展開によっては、スーパーゼネコンの事前調整に関与した政治家への捜査へと発展する可能性も予想されます。

ここにも安倍総理官邸と道路、建設族の暗闘が隠されている気がしてなりません。

 

リニア中央新幹線については、アメリカなど海外への輸出も念頭に整備を進めているという側面があり、高速鉄道で競合する中国やフランスなどが追随できない新技術として実用化し営業運行する事に大変な意義があります。

採算性や投資する事業資金の規模等から民間企業のみで担える事業ではないとも思えますので、国がJR東海を全面的に支援する事に僕は賛成です。

JR東海も国の姿勢に甘える事無く、重要な国家事業を主体的に担って行く姿勢で臨んで欲しいものです。

 

失礼します。